去る8月23日(土)、DevLOVEの中では大きめのイベントとなる「DevLOVE現場甲子園2014 東日本大会」が開催され、無事終えた。1日に1人20分のセッションを60人に発表してもらうとか、同日に「DevLOVE現場甲子園2014 西日本大会」があって、そちらは30人に発表してもらうので、1日に90人発表することになってるとか、昨年は8時間半に渡るイベントでみんな疲弊したことを反省して8時間開催にしたとか、どう贔屓目に見てもおかしなイベントであった。そんなイベントに、話し手でもないのに宮城から裏方をするためだけに行ってきた。

ある種、開発者のためのお祭りだった。ある参加者は「(音楽の)フェスみたいですね」と言っていたし、単なるどんちゃん騒ぎではないけれど、やはりお祭りだったんだろう。



さて、「フューチャーセンター」(wikipedia:フューチャーセンター)という言葉がある。企業や自治体といった組織が中長期的で社会的な課題を設定し、そこに様々な所属・立場・バックグラウンドを持った人(「未来のステークホルダー」)を集め、「対話思考」「デザイン思考」「未来思考」を元にオープンイノベーションを実現していく「場」である。

「対話思考」は、ダイアログなど呼ばれるような考え方や手法群を端緒に、お互いの話を傾聴して尊重し、自分の話を聞いてくれているという安心感を感じながら、フラットな関係性で、各々の体験を共有するものだ。お互いの意見を闘わせる「議論」とは違い、単なる呑み会や井戸端会議の「おしゃべり」でもない、ちょっと意識した場が対話だと思っている。

「デザイン思考」は、デザイナーが昔から自然に行なっていたことを、ある程度体系化し、デザイナー以外でもその思考の道筋をたどることができるものだ。このフューチャーセンターでのデザイン思考の場合、「プロトタイプ思考」と言ってもいいかもしれない。(私個人の意見も併記しておく。本来、手を動かしながら考える「デザイン」に対して「思考」だけを切り取れるかのような表現はあまり適切ではないように思う。しかし、私のようなエンジニアでもデザインを体験できる切り口としてとても有用であると考える)

「未来思考」 は、木の枝のそれぞれのように様々な未来のシナリオを思い描き、そのためにアクションしていくことだ。未来のシナリオは可能性が開かれていて、どんな未来のシナリオも否定されるものではない。各々が信じる「未来」を実現するために動けばいい。それぞれが抱える「過去」の延長線ではない、各々が描いた「未来のシナリオ」を。






 

DevLOVE現場甲子園は、厳密にはそうではないかもしれないけれど、フューチャーセンターみたいだな、と参加しながら思っていた。DevLOVE流のフューチャーセンター。

DevLOVEは、翔泳社さんが主催するDevelopers Summit(通称デブサミ)で、フューチャーセッションを多数開催している野村さんと一緒にセッションさせていただいていた。(2011年の2日目最終セッション2012年の2日目最終セッション2013年にもDevLOVEではないが野村さんの登壇がある) なので、DevLOVEではフューチャーセンターに関わりがあった。ただ、2012年頃はうまく絡むことができなくて、ちょっと距離を置いてしまっていた。




DevLOVE現場甲子園で語られる話は、話し手の体験だ。それは話し手が現場で実践したことで、参加者にとっては「プロトタイプ」のようなものだ。
それらが対話のキッカケになる。対話はダイアログで話してもいいし、あとで話し手を捕まえて話してもいい。参加者同士で話してもいいし、後日SNSでつながって話してもいい。
参加者は、どのセッションを聞いてもいい。あるトラックにずっと居てもいいし、回の表裏ごとにトラックを移動してもいい。自分が興味があるセッションに行ってもいいし、あまり馴染みがないセッションに行ってもいい。休憩場所で、誰かと話し込んでもいい。それは参加者が選ぶシナリオで、「未来」だ。
 
緩やかなつながりで、明確なファシリテーターも居ない。だけれども、これはフューチャーセンターの重要な要素を満たしているように、私は感じた。話し手を含む参加者が、何かを持ち帰ってもらえたら嬉しいと思ってる。これはいつも思っていることだけど。

 

特にまとめというまとめはないけれど、後日「プレイバック甲子園」や「日本シリーズ」というタイトルで、再演などが行われる予定で、既に裏方は動き始めているので、またみんなに参加してもらえたらいいと思う。