『Experience Vision』という手法を解説した本があります。

背景の背景

これは制作中心メンバーの一人である千葉工大の山崎先生のブログに書いてある通り、「ビジョン提案型デザイン手法」という「構造化シナリオを核とした、新しい製品やサービスを提案するための手法」です。Experience Visionとは「ユーザーや顧客の先見と展望(Vision)を探り、これを実現すべく、企業や組織がこれに沿った経験や体験をモノやコトを通して提供すること」と定義されています。


また、この本は上記のブログに記載の通り、日本人間工学会アーゴデザイン部会のSIGで5年の歳月をかけて研究会・セミナー、ワークショップを積み重ねた上で執筆されたものです。そんな大きな年月をかけて作られた成果を利用できるなら是非使いたいところです。


背景

私個人としてはaiithcd2010(2010年11月頃)に一通りの流れを体験することができました。その頃はまだ本は完成していなかったので「構造化シナリオ法」までの体験でしたが、その後2012年の7月に著書が発売されました。


私が所属する勉強会コミュニティのDevLOVEで「Experience Visionのはじめかた」と題した勉強会が2012年9月末に開催され、その後Experience Visionが実務に活かせるのかといった視点で【素振り】を行なうワークショップを6人で5回ほど(約半年間で)行いました。そのメンバーの1人である滝川さんのまとめはこちら


といった形で、書籍が出版されてからだいぶ経っておりまして(やっぱりというかなんというか)みんな熱が冷めて注目していないところではあるのですが、(でも熱狂がいいわけではないので当然のことなんですがね!)そんな中でワークショップをやっていてあーこうやってみたいなーと考えてみたことがあります。


やっと本題

で、このツール・手法は「発想」のためのものだと認識していて、ToBeシナリオを創出する、そのように使うものだと持って本を読んでワークショップ素振りをしてきたのですが、これは後ろから遡って「分析」に使う、AsIsシナリオを描いたほうがいいんじゃないかなぁという考えが浮かんでいます。


そこに至るまでのこれまでの流れ

先日「デジタルゲームの面白さ分析ワークショップ」(講師だった中村さんは分析シートを公開しています)というものに参加し、面白いゲームを作るための方法2つについて考えていました。一つは実際にゲームを作ってみて、試行錯誤していく方法。世の中のゲームの大半はこうした試行錯誤の知見で作られているそうです(一部のスタープレイヤーがうんぬんという話は置いといて…)。もう一つは、面白いゲームのどこが面白いかを分析する、という方法だそうです。こちらはあまりオープンではなく、各社でやっているようですが、それをオープンにやりましょうということで、それが上記のワークシートを公開している意図なのだろうと思います。


他方、Business Model Canvasやピクト図解といったビジネスモデルを描く手法も多数出てきていますが、これらは本来ビジネスモデルの発想、ToBeを描くことに力点を置いているように思っています。しかし、現状はAsIsの分析に用いている人が大半というのが実情ではないかと思っているのです。


で、Experience Visionの苦しいところは実際にいいアイデアを発想してみないとExperience Vision Mapの価値が分からないところで、なんとか2周した今でもモヤモヤしたものが残っているのが正直なところです。道具に縛られてんじゃねーよ!という話もあるのですが、ここは一歩進めて、AsIsの分析に使ったらいいのではないかと思った次第です。



具体的に何するのよ

Experience Visionの方法を「逆回し」にやります。

インタラクションシナリオ→アクティビティシナリオ→バリューシナリオ→(ユーザー設定・ペルソナ)→本質的価値の抽出→プロジェクト目標、といった具合に具体から抽象へ戻って分析していく形にしたいなーと思っています。というのも、バリューシナリオ→アクティビティシナリオ→インタラクションシナリオというところで成功体験がなくて、意外とインタラクションシナリオベースで考えてしまっているワークが多いなーと思っています。結局行きつ戻りつ、という話で、それが推奨されているのですが、スタート地点がバリューシナリオか、インタラクションシナリオか、については大きな差があるように思います。


(バリューシナリオからできないのは発想が貧困だからだ!と言うのは簡単なんですが、そもそも「デキる人」ならこういったフレームが必要ないし、私のようなできない人向けのフレームだと思っているので、その辺の使い勝手をよくしていきたいなぁと思うわけです。)


というわけで

こういったことをやってみたいので、そのうちコミュニティか個人的にか何か言い出すかもしれません。気になった方は各種SNSでお声掛けください。