たぶんfacebook経由だったと思うのですが、表題のワークショップを見つけて参加することにしました。
http://www.anotherway.jp/archives/001309.html
講師は神奈川工科大学特任准教授の中村隆之さん。中村遊び応用研究所を3年前に立ち上げており、その前はナムコ(現バンダイナムコゲームス)にいて、「もじぴったん」のプロデューサーをされていた方です。
以下メモですが、キーワードだけでそんなに分からない気がしますが…
前半の講義部分のメモ
ゲームデザインとは
- 日本語の「ゲーム」と英語の「game」の違い
- ゲームと言っても(オリンピックゲーム、デジタルゲーム、マネーゲームetc…)
- 日本語の「デザイン」と英語の「Design」の違い
- (省略)
→ゲームを通じて「自然と楽しくなる仕組みをつくる」=デザイン
ゲームデザインは何故分かりにくいか
- 先生がいない/教科書がない→体系化されにくい
- 全く同じゲームを遊んでも楽しいと感じる人と感じ無い人がいる
- 楽しいと感じても違う部分で楽しいと感じることがある
ゲームデザインをどう学ぶか
- 実際に作って体験から学ぶ。
- 独学で。何度も作って。真似して。→ハードルが高い/時間がかかる
- 既に完成されたものを分析して学ぶ
- 楽しいもの/楽しくないものそれぞれ分解/要素間の関係性の発見
- 医学でいう解剖学に近い。(リバースエンジニアリング
- 比較的短時間で繰り返せる
ルールベースのゲームデザインの背景
- コンピュータゲーム以前。
- 一人で遊べることは限られていた
- ゲームは複数人で遊ぶことが前提(勝負・駆け引き)
- コンピュータゲーム以後。
- 一人でも楽しい面白いと感じられることが革新だった。
- 勝負の楽しさ以外の楽しさ面白さが重視される 「ひとりで」
コンピュータゲームの基本は一人でも楽しいこと。複数人で楽しいのはあたりまえ。
楽しいってどういう事だろう
- 意味:主に自分の「行動」を通して持続的に感じる「快さ」
- 「快感」がキーワード
- ゲームで得られる快感は様々
- 「達成感」
- 「成長感」
- 「勝利の快感」
- 「爽快感」
- 「連続でできる快感」
- 「敵を倒す快感」
- 「集める快感」
- 「リズムに乗る快感」
- 「モノを壊す快感」
- 「狙い撃ちする快感」
- 「謎解きの快感」
- 「その他」
味覚に塩味甘味苦味旨み辛味があるように、ゲームで得られる快感にも種類がある
特に着目しているのは「達成感」
=基本の調味料としての塩味的要素
- 決められたゴールに到達する快感
- ゴール
- ミッション達成
- ステージクリア
- レベルクリア
- エンディング
- スタート→課題→ハードル→ゴール
- 達成感を得るためにはある程度のストレスが必要
- ゲーム内の集団目的(目標)の関係とストレス
- 大目標 (ex.オールクリア/エンディング…姫を助ける
- 中目標 (ex.ステージクリア/中ボスを倒す
- 小目的 (ex.うまく障害物を避ける/敵を倒す
- 手段 (ex.アクション(ダッシュ/ジャンプ/叩く…)
- 操作 (ex.ボタン押す、タッチ、スワイプ…
- 達成感を感じさせるためにストレスを入れる
- 達成できないと辛いだけでは?
- 失敗しても楽しいデザイン
- 下手な人でも楽しさが持続するためには
- 短い時間の中に快感が繰り返しあるとクリアできなくても楽しいと感じる
- アーケードゲームがヒットするための条件
- 遊ぶ前に楽しそう、面白そう、やってみたいと思わせる(100円を入れてやってみたい)
- 遊びはじめて30秒で操作方法、ルール、遊び方がわかっているだけでなく、楽しいと感じている
- 3分でゲームオーバーになる時にはもう100円入れたくなる(リピート)
- 後ろで見ているだけで楽しめる(やってみたくなる)
- 実は今のスマフォアプリに求められていることに近い
ワークショップの手順
- 短時間プレイで快感を感じるシーン
- オノマトペで表すと?
- 物理的操作
- 手段(直接操作してできること) ユーザーが行なう操作
- 手段(結果的に「起こる」こと) コントロールできないが起こること
- 小目的(ゲーム内でよいと評価される最小限の行為) だいたいスコアがある
- 中目標(ゲーム内で最初に達成クリアゴールする事) 1面クリア。テトリスのエンドレスモードのようにないものもある
- 大目標(ゲームの最終目的)
「最初のワンプレイが大事」
- まとめ
- 先生よりコーチ。インストラクション。
- 失敗の重要性。
- 夢中になる。
感想・考察
自分はUXのためのデザインをエンジニア側からアプローチしている、というスタンスで参加しました。ワークショップ自体とても面白かったです。
個人的には物理操作と手段を分けていること、手段の中でもActionとReactionを分けているところが、今まで意識してなかったので良かったです。今回はスマートフォンアプリが対象なので、大目標や中目標の重要性は薄く、物理操作や手段、小目的の重要性が大きく表れたように感じました。じゃぁドラクエではどうなんだろう、とか、似たようなスマフォアプリで面白い/面白くないものを比べる時に使えそう、とか色々思いました。
また、不快/ストレス要素を組み込んでいるのはいいなぁと思います。UXのためのデザインというか人間中心デザインのプロセスで考えていると、出自がユーザビリティであることもあり、意図的に不快/ストレス要素を入れるという考えは少ないような気がします。もちろん、みんな考えていると思うのですが。
私が所属する社外勉強会コミュニティのhcdvalueで翻訳・公開しているUX白書には、長期的UXという期間的な概念が提唱されており、その視点に立ったデザインが必要だ、といったことが言われています。このワークショップで言う「大目標」や「中目標」の見せ方、といったことになるのだと思います。その辺りは考えていきたいなーと思います。
また、ゲームセンターにおけるノウハウの詰まった「30秒」「3分」といった指標がグッと来ました。こちらは短期的な、一時的UXが支配的な場合に利いてくると思いますが。
全体的に、UXデザインやらワークショップデザインやらで言われていることと似ている部分があったりして、話を聞きながらとても楽しめました。どこかで素振りしつつ自分のものにしたいなーという感覚です。誰かやろうず。
コメント