服飾分野にデザイナー(ファッションデザイナー)という職業があって、その隣には「パタンナー」という職業がある。どうやらパタンナーという言葉は和製英語らしく、正しくは「パターンメーカー」や「モデリスト」と言うらしい。
服飾分野については自分の美的センスや造詣がないこともあり、気後れしてしまうのだけれど、どうしてもこのパターンメーカーについてはすごく興味があって、何度も検索してしまう。どこかに歴史をまとめた資料はあるのだろうか…
そもそも、パターンやモデルといった言葉は、ソフトウェア分野でもよく使われる。私の解釈だと、「モデル」は分析・設計段階において実装にできるだけ依存しない形で抽象化したシステムを描くものだと認識している。「パターン」はデザインパターンという形でソフトウェア分野に溶け込んでおり、よく引用されているのはGoFのデザインパターンだと思う。
パターンについてはパターンランゲージという形で井庭さんを中心に研究と実践が進んでいる。ある時期にはパターンランゲージ3.0という言葉で推していたけど、たぶん最近は違う形にまとめるのを模索していると思う。 3つのCでまとめた中の創造社会、なのかな。井庭さんは常にアップデートがかかっているのがすごい。
少し脱線したけど、ここで言うパターンランゲージという概念は、「状況」「問題」「解決」の3つをセットで捉えたもの、になっている。「状況」→「問題」のProblem Findingと、「問題」→「解決」のProblem Solutionは、セットで考えなくてはいけない。これがこれからの「デザイン」になるし、Problem Findingだけ、Problem Solutionだけ、という状態ではデザインとは言わなくなるのだろう。(だから、最近webで話題のデザインにおける中間生成物問題については、コンテキストに依るの一言で終わっていると思っていて、あまり反応できていない。)
上記とは別のルートで、服飾における「パターンメーカー」に興味を持った。こちらで言うパターンは型紙という意味が強いと思われる。優秀なファッションデザイナーの陰には優秀なパターンメーカーが居るらしく(ソースはWikipedia)(要出典)、どんな仕事なんだろうか。ふと検索して見つけたページがステキだなぁと思った。
■Mパターン研究所
http://www.m-pattern.com/aboutMPL/aboutMPL.html
「パターンが良ければ必ずきれいな服は作れる。
せっかく作るなら既製服よりも美しい服を」
http://www.m-pattern.com/aboutMPL/aboutMPL.html
この一言だけ見ると、ステキな言葉だと思った。そして、今自分が考えて悩んでいることにとても近くて。
たぶん私は人間中心デザインを学んだりした/しているけど、HCDの専門家になりたいという訳ではない。これは資格として取得しないという意味ではなく、HCDのエッセンスを絡めて、いいものを作りたいという意味が強い。でも私には綺麗なものを作るスキルが足りないから、そういった綺麗なものを作るための「道具」を、スキルを磨こうというモチベーションが大きいように思う。
デザイナーがこういうものをつくりたい!と言った時に、それを「型紙」としておこせること。ソフトウェアで言えば、デザイナー(やユーザーが)欲しいと言ったものを、ソフトウェアアーキテクチャで実現すること。たぶんそこは今、できる人はできるのだけど、属人性が高くて、おそらく一般化してないのだけど、「デザイン」と「エンジニアリング」を繋ぎたいという私の言葉は、たぶんそういうことなんだと思う。
特にオチはないです。