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2012年04月

千葉工業大学デザイン科学科山崎研究室主催のワークショップに参加してきました。

つぶやきはtogetterにまとめました。

背景

もともと、UXデザインというか、人間中心デザイン(HCD)に関しては個人的に勉強していて、ビジネスモデルジェネレーションは山崎先生の研究室に以前伺った時に英語原書をご紹介いただいて読んでいました。

Business Model Generation: A Handbook for Visionaries, Game Changers, and Challengers

Business Model Generation: A Handbook for Visionaries, Game Changers, and Challengers

確か伺った際に聞いた話では、UXデザインや人間中心デザインが重要だよね、というのは誰もが納得する内容なのですが、結果として、それがどうビジネスになるかというところまで議論しないと広まらない、という問題意識から、山崎先生はビジネスモデルとの絡みを意識されているといった話だったと思います。


ワークショップ

ワークショップに参加しての感想を3点述べたいと思います。


顧客価値から考える

一番最後に講師の福永さんがお話していた内容ですが、このビジネスモデルキャンバスをどこから考えるか、といった話でした。結論としては、「1顧客価値→2利益モデル→3自社の強み」の順に考えるということでした。(逆に言うと、3自社の強み→1顧客価値→2利益モデルとなっているから日本企業はダメなんだ、といった話もありました。)

ビジネスモデルキャンバスに合わせると、右上(CS、(CR、CH)、VP)の固まりが顧客価値、左上(VP,KR,KA,KP)の固まりが自社の強み、下側(RS、CSt)が利益モデルといった話でした。これは山崎先生と福永さんの意見が一致していたかと思います。

個人的には、福永さんが他のビジネスモデルの書籍(名前は忘れてしまいましたが)を引きながらこのお話をされていたのがとても印象的でした。要するに、新しい概念ではなく、これまでもやっている人はいるということ、逆に意識してもできない人が多いということが話の裏にあるなぁと感じました。

顧客価値を先に考える、という意味ではHCD的な発想はとても重要になってくるということで、とても腹に落ちました。


パートナーが大事

上記の話に山崎先生が補足した内容として「パートナーが大事」というものがあり、あーなるほどなーと思いました。つまり、自社の強みから考えるとビジネスモデルとしてはダメになりがちで、顧客価値から発想する必要があるのだけど、そうすると自社の強みではカバーしきれない部分が出てくる、だからパートナーシップが大事になる、という論理展開だったと思います。

これもとても重要だなぁと思っていて、数年前(いやもっと前からか)コラボ、といったものがよく出てきましたが、それにつながる話かなぁと思って反芻していました。あと、「売って終わりじゃない」という話は最近よく聞く話なのですが、その後の運用フェーズというか終わりがないビジネスとなると、一人で持てる部分に限りはあるよなーと漠然と感じていて、そこにもパートナーがいることの大切さを感じたりしました。


個人としてのビジネスモデルにも適用できる

今回のテーマは、千葉工大山崎研究室の卒業生のKくんがテーマとなっていました。社会人の皆さんはきっと助けてあげたい気持ちになったと思いますがw、それよりもこのキャンバスを個人としても使う、ということに発見がありました。

これは、常日頃から自分のKey ResourceとKey Activityを棚卸しておきましょう、ということになります。それがないと個人のビジネスモデルとして成り立たない。

最後に福永さん自身のビジネスモデルのお話(公開厳禁w)がありましたが、あーなるほどーとうなずく内容で、自分も棚卸ししないといけないなーと思わされました。

続編というか、次の本は「Bussiness Model YOU」という個人を対象としたものらしいです。また読みたい本が増え…

Business Model You: A One-Page Method For Reinventing Your Career

Business Model You: A One-Page Method For Reinventing Your Career


このような勉強の機会を設けていただき、山崎先生(@designkaz)ありがとうございました!

最近、某友人のステマ薦めで石井ゆかりさんの本を買った。

魚座

魚座

webサイトを観ても、とても腑に落ちる内容でとても面白かった。読んでて元気になるタイプの言葉が並んでいてとても心地いい。◯獄に堕ちるわよ、とか言われない。2010年発売かぁ…古臭くなくてそんなに古い本には感じ無かった。

そんな訳で、占いとの関わりについてちょっとだけ書こうと思う。

自分が占いっぽいのに興味を持ったのはいつからかなぁ、と思ったんだけど、最初はうちの父が毎年買う暦だった気がする。こういうやつ。

平成24年高島本暦

平成24年高島本暦

その後、自分が人を色で分類していることが分かった。数字にも色がついてるんだけど、無意識に人を色分けしてて、赤い人にはこう、緑の人にはこう、みたいに接してて、何だかしょんぼりしたりする。

たぶん決定的だったのは、この本だったと思う。

そういえばオーラソーマは一回どっか行ってやってもらいたいなぁと思って、全然やってない。

だから、私にとって「色眼鏡で見る」というのはちょっと特別な意味がある。ある人が、その人の色ではないを人、例えば赤の人が統計・分析みたいなことをやってると、とてももったいない気がする。そういう意味で、色眼鏡で色々見てるのかもしれない。


私はいったい何色なんでしょう。いつまでたっても自分の色は分かりません。

この週末、8年越しにある人に初めて会った。このダイアリーを始めるきっかけになった人だ。私はidを一度捨てたから、もうその記録はないけど。会うきっかけは、まぁ思い立ったということなんだけど、「必要な縁は、いつかきっと繋がる」が私の行動原則なのです。

話してみて、その人は「捨てない」人なんだと感じた。きっとその人は捨てられないとネガティブに捉えてる気がするけど、そうじゃなくて、捨てないという強めの意思があるんだな、と思った。ハッとした。

開発やデザインを勉強したり仕事してると、無自覚にどう捨てるかを議論したりしてるんじゃないか。それはまた別の人に言われてた訳だけど、そう、効率性の悪魔に囁かれたような。

他人の痛みに自覚的であること。しかも瞬間的ではなくある意味累積的な痛みである「捨てる」ことに伴う慢性的な痛みに自覚的であること。

さて、自分にはできるでしょうか。

自分でも何でこんなにモヤモヤしてるか分かってないのですが、最近の流れがどうにもうまく消化できず、とりあえず言葉にしてみたいと思います。

要旨としては以下を考えています。

  • 「チーム」としての働きを考えよう
  • 身の丈に合ったサイズ・コスト・スピードを考えよう

UXなどの言葉の話

UX/UXD/UCD/HCD/おもてなし…などなど、ユーザー体験周りの言葉が少しずつ分断されていってるのも混乱の一因だと思うのです。私は単なるプログラマなのですが、2010年度に産業技術大学院大学の履修証明プログラム「人間中心デザイン」を受講して、その履修修了生を中心に「現場で使えるHCD」をコンセプトとしたhcdvalueというコミュニティを立ち上げている関係上、ざっくり考えてみました。

ちなみに、hcdvalue有志で翻訳したUX白書は一般公開されているので読んでもらえるといいかもしれません。(原文サマリー資料)


UX

ユーザー体験(経験)。人によってかなり意味がブレます。基本は「(あるシステムにユーザーが出会って)得られる体験」で、ユーザーの内面・心の動きを指している、と考えています。(UX白書でいう「現象としてのUX」に近い考えです

これは、システムの使いやすさなどシステム(モノ)の機能を示す「ユーザビリティ」は関連はあるものの、異なる話です。また、UI(ユーザーインタフェース)はシステムと人の境界を指す言葉だと思ってるので、ユーザビリティとも関連してUXに影響する大きな要素となりますが、UXとは異なる意味合いだと考えます。

こういった背景から、「UI/UX」「UI=UX」といった文字列を見るとかなりモヤモヤします…


UXD

「Design for UX」で、「UX(のための/に関する)デザイン」だと思います。千葉工大の安藤先生ですと、「計画」「量産」「インダストリアルデザイン」という言葉を使っていますね。(安藤先生の講演資料)

重要なのは「Design UX」「UXをデザインする」ではないということで、ユーザーの心の中をデザインする、というのはできないものだと考えます。ですので、言えるとすれば「UXのためにUI(などシステム)をデザインする」ぐらいのものかなぁと思っています。


UCD

「User Centered Design=ユーザー中心デザイン」という言葉通り、ユーザーを調査して分析したり、ユーザーに参加してもらって得られる知見を元にデザインしよう、というデザインプロセスのことだと思っています。


HCD

「Human Centered Design=人間中心デザイン」は、ISO9241-210で規格化されたプロセスを持つデザインのことかと思います。といっても基本はUCDと一緒だと考えます。同義語だと説明されるケースも多いです。

違いについては、歴史的にヨーロッパ系列かアメリカ系列かという説明がなされる場合もあります。

また、ISO9241-210では「ユーザーとは、すべてのステークホルダーを含む」と大幅な定義の拡張がなされていたりします。ちょっと無理矢理感もありますが、ユーザー中心デザインと言うと、ユーザーのことばかりに目がいってる印象を与えてしまいますが、人間中心デザインと言えば、ユーザーだけでなく、チームメンバー、経営層、サポートメンバーなどなど、プロジェクトに関わるすべての人を考慮に入れている印象が…入りませんかそうですか…


おもてなし

UXまたはUXDのことを「おもてなし」という言葉で表現するひともいますが、個人的にちょっと違和感はあります。UXDの一要素であってすべてではない、といった印象です。

おそらく、ホスピタリティといった意味合いでのUXDが語られているのではないかなぁと思います。あくまで提供側、システム開発側からの視点であって、それすなわちUXといった意見だと合わないかなぁと思います。



AgileとUXDの間の話

やっと本題…

たぶん以下でUXD/HCD/UCDを混ぜて書いてしまうかと思いますが、ご容赦ください…

アジャイルソフトウェア開発宣言を読む限り、一件アジャイルとUXDは矛盾しないかのように思います。が、実際には進んできた道が違うための溝が大きく、一歩先を行くアメリカでの先駆者が色々工夫しつつ進めてきた形かと思います。


宣言から考える

「個人と対話」「動くソフトウェア」「顧客との協調」については、HCDプロセスでも同様のことが言われていると考えます。例えば、どうやってコミュニケーションをとるか、どうやって意識を合わせるか、実際にソフトウェアを作成する以前にペーパープロトタイピングで検証するか、などです。したがって、この3点においてはアジャイルとUXD/HCDは交流するととてもいいプラクティスが産まれる気がします。

問題は「変化への対応」です。HCDプロセスでは「利用状況の把握と明示」→「ユーザーと組織の要求事項の明示」→「設計による解決策の作成」→「要求事項に対する設計の評価」という4フェーズで語られ、「評価」の結果で適切なフェーズへ戻りましょう、という形です。これに従った場合、「評価」をして戻るといった形なので、どうしても最低1サイクルは回す必要が出てしまいます。その結果、変化への対応が遅れてしまうのではないか、という考えを持ちました。

「小さな失敗」をするためには、何がポイントとなるのか、ということを別の機会にもうちょっと考えてみたいと思います。


コストから考える

現在のUCD/HCDの手法は、コストが大きいことがあると思います。といっても、単にコストを下げればいいわけではなくて、コアとなる概念は外さずにコストを小さくする必要があります。

なので、ラボで実施するユーザテストよりも手軽な機器で行うユーザテストであったり、実際にモックを作るよりもペーパープロトタイプを作成したり、そういったものがアジャイルへの布石となると考えています。ただ、ユーザテストの要がタスク設計であることや、ペーパープロトタイプの抽象度による効果の違いなど、ある程度学習しないと効果が小さくなってしまう点はあるので、ここはアジャイル側とHCD側で一緒に伸ばしていける分野かなぁと思います。


「非ウォーターフォール」

いわゆる「ウォーターフォールじゃないやつ」としてのアジャイルの文脈に違和感があり、あえて敵対するような言説には賛同しかねます。この辺りがとても残念で、ウォーターフォールで培ってきた歴史を全否定しているような言説をみかけます。ウォーターフォールだから悪いのではなく、そのプロジェクトに見合ったコスト・スピードではないから良くないのであって、何でも軽量であればいい、といったことではないかなーと思っています。

チームで仕事するということ

アジャイルの文脈でもHCDの文脈でも、「チーム」ということが重要視されています。なので、開発者であってもデザイナーであっても、これからはどう「チーム」をつくっていくか、ということがとても重要になるかと思います。


HCDの2つの視点

これまでのHCDは「ユーザビリティ」を改善する、「問題解決型」のアプローチが多かったと思います。そこに10年以上の蓄積があり、ユーザビリティの問題がUIの表層部分だけではないこと、もっと深い「戦略」といったいわゆる上流の部分に問題があることが分かってきたのだと理解しています。そして、これまで問題解決型で精度を高めてきた手法や知見が、いわゆる上流工程でも適用できることが徐々に分かり、そこで「ユーザエクスペリエンス」という部分へ踏み込んでいき、「ビジョン提案型」といわれる視点へシフトしています。

といった背景から、HCDの手技法自体もこれから「ビジョン提案型」にシフトしていく途中で、徐々に洗練されていくものだと思います。


まとめ

  • これまでの歴史を無視してアジャイルやHCDを考えないようにしたい。
  • 「チーム」としての働きを考えよう
  • プロジェクトの身の丈に合ったサイズ・コスト・スピードを考えよう。

参考リンク

ユーザー体験とユーザー観察

AgileUX NYC 2012 Redux in Tokyoに参加してきた #AgileUXNYC_ja - Shinya’s Daily Report

(あとで追加するかも)


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