UXデザインの上流工程の考え方とプロセス~ リサーチからアイデア発想そしてUIデザインへ に参加してきました。去年まで所属していたヒューマンインタフェース学会という学会があり、その中のSIG(Special Interest Groupの略らしい。知らなかった。たぶん専門研究会?)として、SIG-DE(インタラクションのデザインと評価専門研究委員会:SIG for Methodology for Interaction Desigin and Evalution)というのがあり、そこが主催のセミナーでした。

とてつもなく余談ですが、UXと名前のつくあたりと、インタラクションと名前がつくあたりのデザインって、交わりそうで交わってないなーと思ったりしてます。UXデザインあたりで情報処理学会のインタラクション2014の話とかあまり聞かないし、WISSもあまり聞かないし、SIGGRAPHはギリギリ聞くかな…といった具合です。(あくまで私の観測範囲ですけど) もっと交流したら面白そうなのになーと思ったりします

さて、本セミナーですが、非常に学びの多いものになりました。
たまたま同じグループになったほこりん氏もブログを書いていたので、こちらもご参考に。
HI学会セミナー「UXデザインの上流工程の考え方とプロセス」2014年07月26日 - 隣り合わせの灰と青春

■セミナー参加の意図

セミナー参加の意図ですが、KA法に関してはありがたいことに何回か講師役をやってきており、練度があがってきていました。
具体的に言うと、2012年9月にピク活ITとコラボした(記事)のを始まりに、2013年6月にDevLOVE仙台で(募集サイト)、2014年1月にDevLOVE関西で(募集サイト)、2014年7月にはヴァル研究所さんの社内セミナーとして開催してきました(記事1記事2)。(おぉ、こうあげると結構やってきた感がw

ただ、その中で「KA法やってそれからどうなるの?」といった質問があがることが多くなってきていて、そこでこのセミナー告知を目にして申し込んだ次第です。つまり、KA法で価値を分析した後のUXコンセプトツリーを何故つくるのか、そこに興味がありました。さぁ行こう、KA法の向こう側へ…!

■講義

 安藤先生が(絶対に前日徹夜したであろう)100枚以上のスライドを準備しておりました。 ベースのお話は、以前にも他の場所で聞いていた内容だったし、ほこりん氏のブログに書いてあるので、心に引っかかったところだけ。
  • 「UXをデザインする手法はひと通り揃った。手法を開発するフェーズは一旦終了し、今はそれをどう使うかのフェーズに移行している。」にはグッときました。このスライドにあるように、フェーズに対応する手法はだいたいマッピングされているようです。(現在必要とされているのは、あるひとりのユーザーに向けたものではなく、ユーザー同士の関わりに向けたもの(ソーシャルデザイン?)なもので、あるひとりのユーザーに向けたものとしてはだいたい足りている印象です。)
  • 「ユーザー体験を設計対象と捉える」という言葉はモヤッとしました。安藤先生が言ってるから、を込みでみてるから理解できるものの、私はエンジニアなので(枕詞)設計の対象に対しては「神の視点」を意識しがちです。(実際はそうではないですが)ほぼすべての事象が分かっているという前提のものでないと、システムのモデリングは難しい側面があると思っています。それに対し、ユーザー体験を設計対象として捉えるのは、その全体像をみることだと理解しつつ、全容が分かるわけではないという感覚があり、腹落ちはしないだろうなーと思って聞いていました。(言葉のあやだと思います。
  • 「ビジネス環境分析」とひとことで記載されている部分が、UXデザインプロセスの接点として重要だろうなーと思いました。
  • SEPIAフレームワークの万能感。
  • 安藤先生の突然の童謡は、徹夜によるハイだったのか
  • 安藤先生の突然の若者言葉は、徹夜によるハイだったのか

■KA法実施
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以降のプロセスでは、インタビューデータという具体的な事実から、分析→洞察→理想体験→発想という形で進みます。KA法は「分析→洞察」の部分(のはず)です。
一見、具体から具体へが近道だと思い、事実→発想というプロセスが良さそうに思えます。しかし、私はボールの投てきのメタファーで考えているのですが、「遠くまで飛ばない」のだと思っています。具体的な事象のフィールドで、できるだけ遠くに飛ばすためには抽象度を一旦高くする必要があります。そうすることで無駄なチカラを使うことなく遠くに飛ぶのだと思っています。ボールを投げる際に45度を狙うとか、人それぞれコツがありますが、それに相当するのがKA法の実施、といった理解でいます。


さて、KA法をライトに実施しました。すでに事前に価値まで導出済みのKAカードを使ってKA分析をやる、というのをやりましたが、インタビューデータがないと細かいところに目を奪われるなーという感触を得ました。どうでもいいところで迷うというか。
終了後にたまたま一緒に参加した友人らと話していたのですが、以前安藤先生が(産技大2010年度履修時に)言っていた言葉に「曖昧なものを曖昧なまま進める能力が必要」ということがあります。KA法はインタビューデータを見つつ、全体像も見つつ、グループ化した関係性も見つつ、といった複数レイヤーで同時に考える場面があります。人間の特性として、複数レイヤーを同時に考えることが難しいのと、何かの軸を見つけて作業する傾向が強いです。
そこで、KA法はインタビューデータを読み込んで切り出し→分類作業をして→全体像を把握するといったボトムアップ型のアプローチをとるのですが、特に分類この最初のインタビューデータの読み込みをやっていないと、分類作業をしてるつもりが読み込み作業をやっていることがあって、分類作業が細かい視点になってしまうのかなーと思いました。


■アイデア発想〜UXコンセプトツリー作成実施

アイデア発想を行いました。ここでおぉーと思ったのですが、アイデア発想をアイデア自体で捉えるのではなく、アイデアのコンテキストに共感していると考えていたのが学びになりました。言われれば確かにそうなのですが、言われないと気付かない。
アイデアに投票するのですが、そのアイデアに意味付けをして投票します。だいたいアイデア投票をして普通は終わるのですが、その意味付けをヒントに、なんでみんなでこのアイデアに共感したんだっけ?というフェーズを挟むことで、KA法の価値マップに厚みが加わり、より強いコンセプトが出ている感じがしました。なるほどなるほど。

UXコンセプトツリーは、アイデア発想で共感されたものをベースに、タッチポイントでの体験を出し、それを束ねる「本質的体験価値」を出していったのですが、この本質的体験価値が難産でした。というのも、これをしっかり出す手法が確立してないので手探り状態だったというのと、 企業の提供価値を合わせて考える必要があるのに、企業提供価値がまったく自分の中に入ってなかったからですw
この「本質的体験価値」を導出する際のヒントとして出されたのが「ユーザーの言葉でもあり、企業の言葉でもある」でした。Service DesignのOfferingを指していることは分かったのですが、これは大変だなーと思ったりしました。以下の図の「O」です。(引用元参照)
 
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例で言うと、某パソコン教室のコンセプトとして「続けられる理由がある」という本質的価値が導出できたとすると、それはユーザーの「続けられる理由があればなぁ」という言葉であり、企業側からの「続けられる理由があります」という言葉になります。この「間に立つ言葉」はそんなに種類がない気がしていて、それを見つけるのにまず苦労しそうです。(それまでの人生経験に依存しそう


■まとめ 

「オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな このはてしなく遠いUXD坂をよ…」
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というわけで、KA法の向こう側を知りたくて参加したセミナーでしたが、その先は果てしない坂であることに気付けた、学びの多い一日でした。
でも、HCD/UCDはビジネス側面が弱い、と言われることが多いですが、UXデザインを突き詰めるとちゃんとお金の匂いがする=本質的価値からビジネスになりそうな気配がする、というのが分かったのはとても大きな収穫でした。(知ってる人は知っていますが、私はあまりお金の話が好きではないです。ので、趣味の範疇を出ず、なかなか仕事に応用できないでいた)


8月から職場や立ち位置も変わって、 心機一転やるために、大きなヒントをいただけたと思っています。主催されたヒューマンインタフェース学会SIG-DEの皆様、講師の安藤先生、参加者の皆様ありがとうございました!